前半は前置き・雑談が長めなので、ワラダ猟についてはもくじから「ワラダ猟について」へ飛んでください。
狩猟の魅力
狩猟への憧れは小説キノの旅がきっかけ
はじめて狩猟に興味を持ったきっかけは、旅人がいろいろな国をバイクで旅をするファンタジーライトノベルの "キノの旅" を読んだ時でした。
キノの旅は2度もアニメ化している人気作品です。
アニメ化するだいぶ昔の2000年10月に発売した "キノの旅 II巻” の "第一話 人を喰った話" にて、主人公キノがうさぎを狩って料理を作るシーンがあります。
主人公のキノは空腹で動けない状態の人間を助けるために食料を調達をするのですが、ウサギを狩る際に「立つ瀬がない」と言ったり、「悪く思うなよ。ボク達は人間なんだ」と言って去っており、喜んで狩りに出ているわけではない様子です。
このエピソードから、”日常の食事は生き物の命を頂いているから感謝して食べている” ということを思い出させられ、"人間のエゴが生み出す弱肉強食の世界" これらは 現実にも起こっていること で、「あなたはこの現実を理解し実感して日々生活していますか?」と作者の時雨沢恵一先生に問われた気がしました。
どのエピソードも人間のエゴを描くストーリーが多く、今でいうところの "エモさ" を感じまして、当時から現在に至るまでドハマリしております。
今思えば "キノの旅" を読んだ時に感じた言語化できない "エモさ" への憧れが、僕が猟を始めたきっかけかもしれません。
オススメの狩猟?漫画
同じような人間のエゴを感じさせるお話は大人気マンガ作品でも描かれております。
"鋼の錬金術師" という作中でも、主人公のエドと弟のアルフォンスが、幼い頃の修行で行ったサバイバルで、自らが生きるための食料として捕まえたウサギに「ごめんな…」と言っておりました。主人公の価値観が変わり成長していく名シーンです。
最近人気な "ゴールデンカムイ" の作中では、アイヌの少女アシㇼパさんがアイヌ文化でのウサギの食べ方やその他ジビエの調理法をコミカルに説明してくれており、日本でのジビエ料理の普及に役立っているように感じます。
自らうさぎを狩って食べるという行為は、マタギ的なカッコ良さと同時に、食物連鎖や人間のエゴを感じるものです。
これら作品も命を頂くことに感謝のニュアンスを含んだ表現が多く、人間は命を頂いて生きているんだなと感じました。
現代では希薄になった "生命に対する身近な感覚" を、現代では多種多様なサブカルの中で主人公たちを通して代理体験しているのは、少し面白いですね。
アニメや映画にもなった岩明均先生の ”寄生獣” では、人間に寄生し人を食べてしまう寄生生物と、地球を汚し一方的に生物のバランスを崩す人間との間で主人公が葛藤する物語終盤の展開はとても考えさせられます。
僕も猟場では、急斜面で転んだり、熊に襲われたらひとたまりもないのでいつも緊張感をもって歩いております。
山を歩いていると人間も地球の生態系の一部でしかないことをふと思い出しますね。
これらはぜひ読んでほしい面白いオススメの作品でした。
自分で獲って食べる魅力
先ほど取り上げた "キノの旅のうさぎ料理" のように、「いつか自分で獲物を獲って、調理して食べたいな。」と思うようになりました。
キノの旅のお話の中で出てくるウサギは、”雪が積もる中で耳先以外は真っ白なうさぎ” との事なので、日本でいうとノウサギやエゾナキウサギのようなウサギだと思われます。
作中では、うさぎの皮を剥いで、内臓を取って、ぶつ切りにして、借りた鍋に雪を溶かしゴミを取って、肉を入れて煮る。煮えたら塩と胡椒をかけて完成。
はらぺこの人が食べて、ちょっとしょっぱいけどうまいと言っていたのですが、キノは料理が下手な設定なので、塩胡椒が少し多かったのかもしれませんね。
昔の日本では、ウサギは捨てるところがないとも言われていた食材で、毛以外は皮も脳も腸の中の糞も、胎児も調理して食べられていたようです。驚きですね。
最近でも東北の旅館でウサギの刺し身を食べたという方のレビューを見かけました。
いつか自分でもいろいろなジビエ料理を作ってみたいですね。
実は僕は、(失礼ですが)見た目が気持ち悪い食べ物は苦手で、脳や目玉、内臓だと腸やレバー、睾丸、胎児などは好んで食べません。味は好きでも生理的に拒否反応が……完全に育ってきた価値観のせいです。
生のムカデから鹿の脳までなんでもご自分で獲って食べるカメ五郎さんを尊敬します。
カメ五郎さんは「和製ベア・グリルス」と呼ばれるほどのアウトドアな方で、ニコニコ動画やYOUTUBEでは山での自給自足生活と罠猟の動画がとても面白いです。
「謝る」のではなく「感謝する」ことに決めました。
幸せにお金は必要か。山ごもりするサバイバー・カメ五郎の回答 - ライブドアニュース
こちらの記事ではカメ五郎さんの猟に対する感謝の想いが綴られております。
【カメ五郎】ネイチャー・ポケット@YouTube - YouTube
うさぎ猟について
海外のHare & Rabbit Hunting
うさぎ狩りと言えば本場はイギリスで、ハンティングは昔から人気のスポーツです。
イギリス発祥で有名なピーターラビットや、不思議の国のアリスが出来た時期は、イギリスでキツネ狩りをしすぎてウサギが増えすぎて問題になった時期と重なるそうです。
うさぎ狩りに使われるビーグル犬は、散弾が当たらないようにわざと足を遅く、うさぎに追いつかないように吠えて追い詰めるように作られた品種です。
ちなみにあのスヌーピーもビーグル犬がモデルです。
こちらの記事を読んで知りましたが、ウサギ肉は世界中で食べられているようですね。
【海外在住ライター直伝】「ウサギ料理を食べますか?」世界23ヵ国で訊きました
オーストラリアでは、兎狩りがしたくて持ち込まれた24匹のウサギが8億匹まで増殖したという記事がありました。草食動物の増加速度は恐ろしいですね。
24匹が8億匹に! ウサギで豪大陸を侵略した英国人 | ナショナルジオグラフィック日本版サイト
うさぎの生態について
日本でよくペットとして飼われているウサギは”アナウサギ”で英語で"rabbit"です。
野生のうさぎの”野ウサギ”は英語で"hare"と言います。どちらも狩猟鳥獣です。
この2種類は見た目は同じようなウサギですが、実は全く異なる生物で、交配しても子孫は残せないのです。(ゴリラとオラウータンのような関係)
日本でもうさぎの生息数と、キツネの生息数は反比例の関係にあるというデータを見たことがあります。
キツネの個体数が増えるとうさぎが減っており、逆に害獣駆除でキツネの個体数が減るとうさぎが多く発見されていました。
そして、僕が未熟なのもあるのですが、現在なかなか野ウサギと出会えておりません。
※いたとしたら僕の場合は北海道なのでエゾユキウサギですね。
日本自然保護協会の調査では、里山の伝統的管理がなされなくなったことでノウサギが好むような草原的環境が減少していることが減少の原因である可能性があるとのこと。
こちらの資料を見る限り、とりあえず十勝地方の草原の多い地区を狙うのが良いのかな…?
しかし、うさぎの個体数が減っているのならなぜ狩猟鳥獣から外れないのでしょうか……? 制限すると ”オーストラリアのうさぎ増殖事件” のようにあっという間に増えてしまうからでしょうか。もしかして減ってないのかな。
ウサギ猟の情報収集と猟法
ウサギ猟の手段は案外多いです。
- 車で流して見つけたら近づいて銃で撃つ「流し猟」
- 数人で連携して待ち伏せ位置まで追い立てて銃で撃つ「巻狩り」
- 巻狩りで追い詰める先に予めうさぎ網を張っておく「網猟」
- 活動圏内に箱罠を設置しておく「罠猟」
- 育てた猟犬で追い立てて銃で撃つ「犬を使った銃猟」
- 猛禽類を使った「鷹狩」
- 古き日本のマタギの猟法「ワラダ猟」 ※面白いので次の章で詳細を説明してます。
海外では他に落とし穴を使ったりと猟法は多岐に渡ります。
最近の日本では犬か罠が多いと思います。
日本のウサギ猟の情報が少ない時はYOUTUBEで「Hare & Rabbit Hunting」と検索すると海外の動画がたくさんヒットして勉強になります。
字幕をONにして言語を日本語にすると、なんとなく言っていることがわかります。
こちらの動画「ウサギをかる方法」では、Google Earthで猟場を検討しております。
素手でウサギの内蔵を一瞬で抜く方法の動画が凄いです。こんなに簡単に取れるなんてびっくりです。
簡単に獲っている様子をみると自分でも簡単に捕れる気がしてきますが、実際山に入ると難しいのでしょうね。
ワラダ猟について
ワラダとは
「兎追いしかの山、小鮒釣りしかの川……」
あの有名な曲「ふるさと」は大正3 (1914) 年に「尋常小学校唱歌(六)」に発表された歌。なんと100年以上前の曲です。
昔は兎を追いかけているのが当たり前だったようですね。
いつかうさぎ狩りに行きたいなと常々思っているのですが、なかなか行く機会がありませんでした。
先日うさぎの生態や捕まえ方についてネットで情報を集めてみると面白い猟具を知りました。
その名も ワラダ (ワラダカとも言う)です。
※ワラダの見た目の参考写真はこちら→ワ(ワラダ)|新庄デジタルアーカイブ
穴の開いたフリスビーのような形で、藁を編んで作られており、鷹の飛ぶ音を模してうさぎを驚かせて捕まえる猟具。
昔はこれが使えると一人前と認められたようです。
驚くことに、これを使うとウサギが鷹に襲われると思って穴に逃げ込み、少しの間動かなくなるようで、その間に急いで近づいて素手で捕まえることが可能とのこと。
ちなみに、うさぎ猟の事をワラダ猟(ワラダウチ)と言います。
ワラダの使い方はとても簡単で投げるだけですが、獲物を見つけるほうが大変かもしれません。
音を立てずにこっそりとウサギに近づいて、風下の斜面の上から斜面スレスレに投げて使います。
米俵の蓋の部分の桟俵もワラダとして使われていたりしたみたいです。
2016年11月8日にNHK総合で放送された ”ダーウィンが来た!" という番組では、鷹匠の方と協力し、ワラダの投擲音とワシの飛ぶ羽音を比べた結果、音がそっくりだったと検証されていたようです。
※動画は見つけられませんでした。再放送希望。
これは是非作って使ってみたいですね!
生きたまま素手で捕まえられると、食肉部分へのメリットが大きいです。
ワラダの種類
ワラダは地方で呼び名が異なります。方言のようなものですね。
投げ飛ばし用の猟具には、わらで編んだものもある。飛騨地方では「シュウタン」「ヒユウタン」などと呼ばれている。円盤状に編まれており、十センチほどが中空のドーナツ形をしている。投げ飛ばした時に音が立ちやすいようにと、縄やささの葉を付けたものもある。東北地方では、わらで作ったタカという意味で、「ワラダカ」「ワラダ」と言い、白山の山ろくでは「シブタ」「シュウタ」と呼んでいる。
資料:天野武著『野兎の民俗誌』
地域によって形も異なったりしていたようです。
鷹の羽根を付ける地域もあれば、ただの棒のようなものを投げて捕まえていた地域もあります。
これらはいずれもウサギを威嚇するための道具で、空高く投げると鷹の羽音と同じような音がします。
ウサギは鷹が天敵なので鷹の羽音がすると驚いて雪の中に逃げ込む習性があるので、これで鷹の羽音に似せた音を発し、ウサギを捕まえるのです。
ワラを円形に作ったものが一般的ですが、木の枝やツルを折曲げて円形にしたもの、そこに鷹の羽根を取り付けたものなどがあります。
資料:「狩人」庶民生活の中の狩り
これだけ形が違くても良いのなら、きっと鷹の飛ぶ羽音と同じような空気の切り裂く音が鳴って飛距離が稼げればなんでも効果がありそうですね。。!
※鳶や鷹の羽音は羽根のへりをすり抜ける風圧によって生まれる摩擦音です。
ワラダ猟の動画
ワラダ猟の参考になりそうな動画をご紹介します。
動画の9:10〜 演技臭さはありますが、猟の流れはなんとなくわかります。
8:00〜 ワラダ猟の実猟動画、実際に獲っているのは初めてみました。
ワラダの作り方
僕もワラダを投げてウサギ猟をやってみたいと思い作り方を調べることにしました。
ところが、「ワラダ 作り方」で検索すると……
サラダの作り方 しか出てきませんでした。
※検索間違い対応の ”もしかして○○○○?” も表示されません。
ちなみに、一昔前に流行った穴の開いたフリスビーは ”エアロビー” と言いますが、ギネス記録では400メートル以上飛んだ記録があります。それくらい理にかなった形という事ですね。マタギの知恵は凄いです。
投げたときの音が同じなら効果も同じはずなので、こうなったら似た素材で真似して作るしかありません。
もっと調べてみる必要がありそうなので、出来そうだったらいつか作ってみます。。
追記
ワラダの代わりに代用できそうなものを見つけました。
ニトリで見つけたランチョンマット。ウォーターヒヤシンスで編んでありました。
サイズはいい感じですが、思ったより軽めなので、投げたら風に煽られそう。
もう少し密度が高い重い素材でも良いかも。
素材はしっかりしているけど少し小さいかな?