アライグマについて
なぜか足がかかってました。理由はこのあと
アライグマと出会った理由
鹿の有害駆除の罠でアライグマが獲れた。
通常くくり罠には締め付け防止金具の使用が義務付けられており、小動物はかからないものだと思っていた。
もちろん、使用しているくくり罠は市から配布されたもので、締め付け防止金具がついていた。
(エゾシカ用なので輪が大きく、錯誤捕獲が起きにくいはず)
締め付け防止金具はスリーブだけとかじゃなくて、ナット式のしっかりとしたやつです。
しかし、なぜか締め付け防止金具が破損し、ワイヤーが締め付けられ、見事にアライグマの足を括ってしまったのだ。
今回のことを反省すると共に、今後錯誤捕獲が起きると危険なので、設置するわなは入念なチェックが必要です。駆除隊で発生原因を特定したいと思います。
アライグマを運んだら3年の懲役刑?
アライグマは特定外来生物で、有害駆除の対象です。
また、外来生物法では生きたままの運搬が禁止されております。
(なので今回はしっかりと処理しました。)
その場で息の根を止めなければ処理場まで運べませんのでご注意ください。
許可なく野外に放つと、
・個人なら懲役3年以下もしくは 300万円以下の罰金
・法人なら1億円以下の罰金
となります。
【参考】環境省>自然環境局:日本の外来種対策>外来生物法>罰則について
殺処分動物の殺処分方法は、化学的又は物理的方法により、できる限り殺処分動物に苦痛を与えない方法を用いて当該動物を意識の喪失状態にし、心機能又は肺機能を非可逆的に停止させる方法によるほか、社会的に容認されている通常の方法によること。
締め付け防止金具について
途中で締め付けが止まれば小動物の足が抜ける
締め付け防止金具ってなんで必要なの?
ここでちょっとした疑問が
締め付け防止金具ってどこらへんにつけるのが正解なの?
有害駆除で設置しているくくりわなは、よく”から弾き”がおきます。
小動物が踏んでると思うのですが、多くて1日5カ所くらいから弾きしてます。
締め付け防止金具の位置をもう少し小さくしたらもっと鹿獲れないかな?と考えました。
そこで、締め付け防止金具をつける義務はいつできたのか調べてみました。
平成18年6月に鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律が改正され、「特定猟具の使用を禁止又は制限する制度の創設」が平成19年4月16日から施行されました。
その内容は、環境省のサイトにこのように記載されております。
禁止猟法の見直しについては、本来捕獲の目的とする鳥獣と異なる鳥獣を誤って捕獲する錯誤捕獲の防止及び錯誤捕獲の際の鳥獣の損傷の軽減を目的とした、とらばさみの狩猟における使用の禁止及びくくりわなの規制が強化されております。
野生鳥獣の違法捕獲の防止 || 野生鳥獣の保護及び管理[環境省]
なるほど、2006年に法改正されて、2007年4月に施行開始して、
錯誤捕獲の防止と鳥獣の損傷の軽減が目的なのか。
もし猟犬や迷子のペットがたまたま罠にかかってしまっても、怪我しないのが一番だからですね。
そして添付資料にはわなの規制強化の詳細が記載されております。
○狩猟でのとらばさみの使用は禁止です。
○狩猟で以下のくくりわなは使用できません。
・輪の直径が12cmを超えるもの
・締付け防止金具の装着がないもの
・よりもどしが装着されていないもの(*)
・ワイヤーの太さが4mm未満のもの(*)
(*)クマ類・イノシシ・ニホンジカ以外の獣類には適用されません。
気になる点がいくつかあるので順に説明していきます。
トラバサミ
○狩猟でのとらばさみの使用は禁止です。
トラバサミ禁止されてからまだ15年くらいしか経ってないんですね!
昔から罠使ってる田舎の農家さんとか、知らずに違法わな使ってそうだな……
くくりわな「輪の直径が12cmを超えるもの禁止」だけど…
・輪の直径が12cmを超えるもの禁止
くくりわなで直径12cm超えの商品をよく見かけますが、じつは輪の長径と短径のうち短径が12cmを超えていなければ、長径はどれほど長くても問題ありません。
下記のブログの方は、生活環境部自然環境課に問い合わせて確認した結果
『輪の直径を規定してる鳥獣保護法においては、輪の直径の制限は “人が罠にかかることの防止” ではなく、“クマなどの大型獣の錯誤捕獲を防止すること” を主な目的としています』
『現在のところ、輪の短径が12cm以下であれば大型獣の錯誤捕獲が起こりにくいとされますので、短径についての制限がある一方、長径についての制限は特に定められていない、と理解してもらえれば良いかと思います』
【参考】E-plus:くくり罠の輪の直径、じつは12cmを超えても大丈夫!
ということで、足が大きい動物を錯誤捕獲しないための規制みたいですね。
くくりわな:締め付け防止金具
・締付け防止金具の装着がないもの禁止
わなの免許もってる人なら常識だと思うけど、やっぱりくくりわなの
締め付け防止金具は必須
です。
これは、足の小さい動物を錯誤捕獲しないための規制みたいですね。
でも、締め付け防止金具の設置位置について記載はないですね…🤔
情報がないのでTwitterの意見を参考にしようと検索すると、JUNEさんが同じ疑問を投稿されておりました。
締め付け防止金具ってだいたいどの辺で固定してますか??親指よりちょい緩いぐらいで考えてます
— JUNE (@JUNEJUNENOVA) 2022年10月6日
教えて罠師の方々🙇♂️ pic.twitter.com/ZB3e8lb76T
このリプ欄の解答では、
・同じくそれくらい(親指よりすこしゆるいくらい)にしている
・直径24mmにしている
・親指の付け根くらい
・(輪のワイヤーの長さが)9cmのゴムチューブを通すくらい
→直径30mmくらい?
とありました。
こんど駆除対象の小動物捕獲したら足首の太さ測ってみようかな。
違反したら100万円の罰金?
鳥獣保護管理法に違反した時の罰金についても記載ありました。
鳥獣保護管理法に違反して野生の鳥獣を捕獲した場合は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられます。
野生鳥獣の違法捕獲の防止 || 野生鳥獣の保護及び管理[環境省]
鹿を捕まえるためには、足の大きいクマや、足の小さい小動物たちの錯誤捕獲に気をつけないといけないと再認識しました。
締め付け防止金具は必要ない?
締め付け防止金具はつけなくても良い説
狩猟民族の館(Hunting Factory)さんというブログの2009年10月の記事 にて、狩猟登録の時に配布された資料に、
締め付け防止金具の装着は、容易に輪を広げられる金具、または、輪のしぼりを一定の大きさに制限する金具のどちらか片方だけの装着でもよい。
と記載されていたので、締め付け防止金具は使っていないと書かれていた。
【参考】狩猟民族の館(Hunting Factory)締付け防止金具
何かの間違いの資料だろうと思いましたが、さらにこんな情報がありました。
YouTubeで締め付け防止金具を使わなくても良い場合もあると解説している動画を発見しました。
その話では、締め付け防止金具についての疑問を環境省へ問い合わせたところ以下の見解となったそうです。
2020年2月現在の環境省の公式見解です。
くくり罠の合法パターンは以下みっつ。
1. くくり金具のみ
2. くくり金具 & 締め付け防止金具
3. 締め付け防止金具のみ
締め付け防止金具について環境省に問い合わせたよ - YouTube
え?締め付け防止金具つけなくて良いの??
驚きです。
動画投稿者様も「容易に輪を広げられる道具」として「くくり金具」はどうかと思うと疑問を口にしておりましたが、環境省は「くくり金具」だけでも問題ないと回答されたそうです。
くくり金具ってのはこちら
ちなみに
環境省もオンラインで閲覧できる資料はまだないんですよ〜って言ってました
とコメント欄にありましたので、これは公式資料に明記されていないみたいですね。
それでも自分は半信半疑。
締付け防止金具は絶対必要だと思っている派なので、環境省のサイトを漁ります。
環境省の意見
環境省のサイトで面白い記事を見つけた。
特定鳥獣保護管理検討会の平成27年度ニホンジカ保護及び管理に関する検討会議事次第にて、配布資料の一部にこのような質問がありました
(長いので質問文途中削ってます)
鳥獣保護法の解説において、「締付け防止金具」は、 「くくり罠の輪の接続に使用し容易に輪を広げられる金具」又は「輪のしぼりを一定の大きさに制限する金具」と説明されています。
この説明では、「輪のしぼりを一定の大きさに制限する金具」を装着しないくくり罠でも法定狩猟具と見做されます。
獣は必死に逃げようとするので、「くくり罠の輪の接続 に使用し容易に輪を広げられる金具」だけでは、獣へ重度の損傷を与えるのは明白です。
締付け防止金具を明確に規定いただき、鳥獣保護管理室から全都道府県知事へ通知頂ければ幸いです。
【参考】特定鳥獣保護管理検討会>平成27年度ニホンジカ保護及び管理に関する検討会議事次第>資料2-2(別紙) 意見の概要と対応方針
つまり、
一般的な「締付け防止金具」を使わなくても良いって書いてるけど、獣へのダメージ大きいからダメじゃない?ちゃんと定義して全国へ通達してください。
って質問(というか要望?)ですね。意訳なので、詳細はURLより原文見てください。
ちなみに鳥獣保護法の解説した書籍はこちらのことだと思います。
この質問に対する鳥獣保護管理室の解答がこちら
締付け防止金具については、仮に錯誤捕獲があった場合には、当該個体の損傷を軽減するためのものであり、少なくとも「容易に輪を広げられる金具」か「輪のしぼりを一定の大きさに制限する金具」のいずれかが装着されていることとされています。
なお、上記の解釈については、都道府県に対して通知済みです。
【参考】特定鳥獣保護管理検討会>平成27年度ニホンジカ保護及び管理に関する検討会議事次第>資料2-2(別紙) 意見の概要と対応方針
一般的な締め付け防止金具がなくても
「容易に輪を広げられる金具」がついてれば問題ないって回答
これ2016年2月の検討会ですが、先ほどのYouTubeの方の問い合わせた内容と同じですね。
輪を締め付けない「くくり金具」を使っていれば、「締め付け防止金具」は使わなくてもいいと結論がでました。
少なくとも現状の規制ではそういうことになっているみたいですね。
あくまでも個人的な推察ですが、たぶん動物愛護の観点からの規制意見と、害獣駆除的にやりにくくなるって意見の板挟みで現状の法規制となったので、環境省もこれ以上どちらかに傾くともう一方から問題が出てしまうため、なし崩し的に現状の曖昧戦略をとってしまっているのかなと思います。
それでも締め付け防止金具を使った方がいい理由
①結局ダメージがある問題
本来の理由に立ち返りますと、ツキノワグマの錯誤捕獲などが問題視されたのがきっかけで2006年に法改正されました。
当初の意図としては、錯誤捕獲した動物へのダメージを軽減させるために「持続的に括らないようにすること」が前提でした。
ストッパーをつければOKなのではなくて、捕獲した動物へのダメージを軽減させなければ意味がありません。
輪を締め付けない「くくり金具」だけでは捕獲獣へのダメージが大きいままですし、足切りの可能性が高くなります。
迷子のペットや、仲間の猟犬の足がちぎれる可能性もあります。
②動物愛護的な理由
日本では遅れておりますが、世界的にはアニマルウェルフェアの考えが広まっております。(家畜でもストレスを与えないで快適に生きられるよう尊重しましょう的なものです)
法律が大丈夫でも、現実的には錯誤捕獲問題が起こる可能性があるため、締め付け金具は正しく使用して欲しいと個人的には思います。
動物愛護的な意見
外来生物法では人の占有していない野生の外来種については、動物愛護管理法の対象とはなりません。
しかし、日本固有種の動物はもちろん、くくりわなの錯誤捕獲で迷子のペットや、他のハンターの猟犬がわなにかかる可能性があります。
もちろん他者のペットは動物愛護の対象です。
動物の愛護及び管理に関する法律の第44条では、愛護動物をみだりに殺し、又は傷つけることが禁止されています。
環境省のサイトより、動物愛護管理法の虐待の遺棄や禁止を参照すると、
・愛護動物をみだりに殺したり傷つけた者
→5年以下の懲役または500万円以下の罰金
動物虐待とは、動物を不必要に苦しめる行為のこと
とあります。
もしかしたら、鳥獣保護法的に問題のないくくりわなでも、締め付け防止金具をつけていなかったせいで、仮にペットの迷子犬をわなにかけて衰弱死させてしまったら、動物愛護の観点で言えば罠にかかる可能性を認識しながら動物をみだりに傷つけたとして問題になるかもしれません。
以上、少し長くなりましたが、個人的にくくりわなの締め付け防止金具はつけた方が良いと思います。
(今日1日簡単に検索して出てきた情報をまとめただけなので、どこか認識が間違ってたらすみません。)